映像 5分55秒
《Translucent Objects》はメディアを通してモノを見ることを再考させるための、映像表現を用いたメディア空間における彫刻作品です。この作品では1つの出来事を、表と裏の2つの方向から同時撮影した映像を合成する手法を用いています。その手法によって、実際の撮影空間には無い物体を作り出し、現在の人間の身体構造では同時に捉えることができない表裏を見る光景を表現しました。
インターネットをはじめとするメディア空間において、1つのモノやコトを多様にとらえる視覚の拡張はすでに進展しています。その一方で正確な位置関係や、本来の質感はとらえきれなくなっています。本来のものとは異なる情報媒体を通してものごとを知ることが日常となり、膨大な情報が氾濫する一方で、そのものの真偽がわからない中で、それがどうあるかに考えを至らせること、また、自身の目で、みるものを選び取ることを《Translucent Objects》は要請します。
シンプルな手法がつくりだす複雑な経験によって、知覚と情報のバランス、メディアを通して対象をとらえることの意味を問いかけます。
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